初めまして。結婚4年目33歳の主婦です。抗精子抗体があり、AIHを5回したのち、IVFを2回しました。2回目で妊娠反応が出たものの、6週目で流れました。現在3回目を考えているんですが、ZIFTを勧められています。PCOのため刺激でたくさん卵は出来るんですが、OHSSになります。卵の質もたくさんできる割にいいものは少ないです。先生は「卵の質が悪いので、できるだけ自然に近い状態で受精卵を戻したほうが確率が上がる。」と言われます。ZIFTはお腹に穴をあけるし、費用もUPしますので、簡単には返事できずにいます。山下先生はZIFTについてどう思われますか?お忙しいとは思いますが考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
この問題もお答えするのがたいへん難しいですが、敢えて私の考えを述べさせていただきます。ZIFTは受精だけは体外でさせた卵を翌日に腹腔鏡を使って卵管に移植する方法です。担当の先生がおっしゃるようにIVFよりは自然に近い条件が作れる方法です。最近は培養液が改良され体外の培養でもかなり条件は良くなってきておりますが、それでも卵管の中の環境の方が胚の発育には適しているだろうというのがZIFTを良しとする理論です。最新の日本産婦人科学会の全国の報告から実際の成績をみますと妊娠率はIVF22.6%、ZIFT34.1%でZIFTの方が良好です。しかしながら治療周期数をみるとIVFが33206周期に対してZIFTは僅か88周期で、ZIFTは殆ど行われていないのが実態です。恐らく詩織さんが治療を受けられている病院を含めて日本ではほんの数か所で行われているにすぎません。ですからZIFTの方が成績が良いといいましても、数ヶ所の施設からのたかだか100周期に満たないデータからの妊娠率です。私自身はZIFTの方が本当に優れた方法であるかどうかは疑問に思っております。またZIFTが殆ど行われない最大の理由は当の患者さんはもちろんのこと医療者側にも負担が大きすぎるためです。その負担を考慮してもやるだけのメリットがあると考えるならばもっと普及しているだろうと思います。以上ZIFTに対しての消極的な私の考えを述べさせていただきました。何らかの参考にしていただければ幸いです。